お客さんへの価値提供と規模拡大のステップアップ手順

この記事では、お客様への価値提供のステップアップ方法について詳しく解説します。

商品開発からマーケティングまで、顧客への価値提供がビジネスの成功を左右します。しかし、一体どのように価値提供をステップアップしていけばよいのでしょうか?

本記事では、ロジャーハミルトンのウェルスダイナミクス理論を用いて、4つの異なる価値の関係性とステップアップの順番について説明します。

4種類の価値の関係性と正しいステップアップの順番

ウェルスダイナミクス理論では、外的価値は4つの異なるタイプに分類されます

商品開発において、お客さん目線での価値創造は非常に重要です。ロジャーハミルトンのウェルスダイナミクス理論によると、外的価値は4つの異なるタイプに分類されます。

これらの価値は、お客さんが商品やサービスをどのように認識し、評価するかに大きく影響します。正しいステップアップの順番を理解することで、企業はより効果的に市場にアプローチし、顧客のニーズに応えることができます。

小売価値と卸売価値に分解する

小売価値と卸売価値はどのような意味?

価値を細分化して見える化をすることで現在の自分が提供している価値の認識と自分のゴールや目的に対して適切な手段が選択できる

小売価値:ニーズを満たす価値とウォンツを満たす価値

小売価値は、消費者が直面する具体的な問題や欲求を解決することに焦点を当てています

これは、製品やサービスが顧客の即時のニーズにどのように応えるか、または彼らのウォンツをどのように満たすかに関連しています。例えば、食料品店は日々の食事のニーズを満たし、ファッションブランドはスタイルというウォンツを満たします。

ニーズを満たす価値とウォンツを満たす価値

  • ニーズを満たす価値は、顧客が明確に認識している必要性に対応します。これは、基本的な生活必需品や緊急の要求に関連することが多いです。
  • ウォンツを満たす価値は、顧客が必ずしも意識していないかもしれないが、提供されると喜ばれる要素です。これは、快適さ、便利さ、またはステータスといった形で現れることがあります。

卸売価値:構成要素価値と投資価値

一方、卸売価値は、製品やサービスがビジネスの構成要素としてどのように機能するか、または時間とともにその価値がどのように増大するかに焦点を当てています。

これは、主に法人顧客や事業者に対する価値提供として考えられます。

構成要素価値と投資価値

  • 構成要素価値は、製品やサービスが他のビジネスの一部としてどのように組み込まれるかを指します。例えば、自動車メーカーが部品供給業者から購入するエンジンは、最終的な車両の構成要素となります。
  • 投資価値は、時間の経過とともに価値が増す要素を指します。不動産や株式など、価値が増加する可能性のある資産がこれに該当します。

各4つの外的価値の事例を紹介

4つの価値がどのように消費者の選択に影響を与えるか事例を紹介します。

消費者が日々の選択を行う際には、多くの外的価値の要因が影響を及ぼします。

これらの要因は、消費者のニーズやウォンツ、構成要素価値、そして投資価値という形で現れ、それぞれが消費者の行動に大きな影響を与えることがあります

以下では、これらの価値がどのように消費者の選択に影響を与えるかを、具体的な事例を交えて詳しく見ていきましょう。

ニーズを満たす価値の事例

ニーズを満たす価値とは、生活を維持するために必要不可欠な商品やサービスを指します。例えば、食料品や生活サービスは、人々が日常生活を送る上で欠かせないものです。

これらは、安全で健康的な生活を支える基盤となり、多くの人々がより安価でアクセス可能なものを求めます。

スーパーマーケットやオンラインショッピングプラットフォームは、このようなニーズを満たすために多様な選択肢を提供し、価格比較や割引を通じて消費者の経済的負担を軽減します

ウォンツを満たす価値の事例

ウォンツを満たす価値は、生活必需品を超えた、個人の嗜好や欲求に応える商品やサービスです。

ブランド品やオリジナル商品は、個人のアイデンティティやステータスの表現として重要な役割を果たします。

例えば、高級腕時計やデザイナーバッグは、所有者のファッションセンスや成功を象徴するアイテムとなり得ます。また、カスタムメイドの家具やアート作品は、個人の独自性や創造性を反映し、生活空間に個性を加えることができます。

構成要素価値の事例

構成要素価値は、製品やサービスを構成する基本的な部品や機能を指します

スマートフォン内の半導体や、ビジネスコミュニケーションに欠かせない公式LINEやZoomなどは、現代社会において中心的な役割を担っています。

これらは、製品やサービスの性能や利便性を高め、消費者の生活や仕事の効率を向上させるために不可欠です。例えば、高性能な半導体は、スマートフォンやコンピュータの処理速度を速め、ユーザー体験を向上させます

投資価値の事例

投資価値は、将来的なリターンを期待して資産を購入する行為です

株式や不動産は、長期的な資産増加や収入源として人気があります。株式投資は、企業の成長に伴う利益のシェアを得る手段として、多くの投資家に選ばれています。

一方、不動産投資は、賃貸収入や価値の上昇を通じて、安定した収益を生み出す可能性があります。これらの投資は、適切な知識と戦略を持つことで、個人の財産を増やす有効な手段となります。

4つの価値提供のステップアップの順番

ビジネスを成長させるためのステップとは?

小売価値の2つ「ニーズを満たす価値」「ウォンツを満たす価値」と卸売価値の2つ「構成要素価値」と「投資価値」の特性を理解した上で、価値の総量をより大きくするには正しいステップがあります。

ただ、人によってどの段階から始めるのか?または、どの段階でとどまるのかは自由なので、認識をしたうえで自分にあったものを選択することが必要です。

ビジネスの成功への道は、顧客のニーズとウォンツを理解し、それらを満たすことから始まります。ここでは、ビジネスを成長させるための4つのステップを詳しく見ていきましょう。

【ステップ1】すでに需要のある「ニーズを満たす価値」から始める

ビジネスを始める際、最初に注目すべきは、顧客が既に認識している明確なニーズです。

これは、食料品や衣類などの生活必需品を提供する小売業や、清掃、修理、保育などのサービス業に当てはまります。

これらのニーズは、人々の日常生活に不可欠であり、安定した収入源となり得ます。顧客が何を必要としているかを理解し、それを提供することで、信頼とロイヤリティを築くことができます

【ステップ2】ニーズを満たした次の「ウォンツを満たす価値」を提供する

ニーズを満たした後、顧客の「ウォンツ」、つまり彼らが欲するものに焦点を当てます。

これは、自分の個性や独自性を表現したいという欲求や、他人からの承認や賞賛を得たいという欲求など、より感情的な動機に基づいています

例えば、ファッションやテクノロジーの分野では、トレンドを追いかけることや、新しいガジェットを手に入れることがウォンツに該当します。これらの欲求に応えることで、顧客の満足度を高め、長期的な関係を築くことができます

【ステップ3】価値提供する相手を変えて「構成要素価値」を提供する

ビジネスが成長するにつれて、個人顧客から法人や事業主へと、価値提供の対象を拡大することが重要です。これにより、提供する価値の総量を増やし、スケールアップすることができます。

例えば、個人向けに提供していたコンサルティングサービスを企業向けに展開することで、より大きな影響力と収益を得ることができます。

また、自分のスキルや経験を活かして、新しい市場や顧客層にアプローチすることも可能です。

【ステップ4】価値提供をし続けるものを所有する「投資価値」を提供する

最終的には、ビジネスの持続可能性を確保するために、価値提供の循環システムそのものを所有することが重要です。

これは、不動産投資や株式投資など、収益を生み出し続ける資産を所有することを意味します。これにより、一時的な取引ではなく、長期的な収益源を確保することができます。

また、ビジネスの規模を拡大し、新たな機会を創出するための資金を確保することもできます

価値提供をステップアップする事例

美容室や子育てコンサルティングサービスの価値提供ステップの事例を紹介します。

この章では、具体的な事例を通じて、価値提供のステップアップのプロセスを詳しく解説します

美容室や子育てコンサルティングサービスといった異なる業種を例に、それぞれのステップがビジネスの成長と顧客満足度の向上にどのように貢献するかを見ていきましょう。

事例1:美容室の価値提供ステップ

【ステップ1】基本のニーズを満たす価値から始める

美容室の基本的なサービスは、髪を切ることです。これは、すべての顧客が求める基本的なニーズに応えるものであり、美容室の存在理由そのものです。

顧客が美容室を訪れる最も一般的な理由は、スタイリッシュなヘアカットを求めているからです。このステップでは、技術の高さとサービスの質で、顧客の期待に応えることが求められます。

【ステップ2】ニーズを超えたウォンツを満たす価値を提供する

顧客のニーズを満たした後は、さらに一歩進んで、彼らのウォンツに応えるサービスを提供します。

例えば、髪質改善、短時間カット、髪に良いトリートメントなど、顧客がまだ意識していない潜在的なニーズに対応することで、美容室は差別化を図ります

これにより、顧客はただ髪を切るだけでなく、トータルな美容ケアを受けられる場所として美容室を認識するようになります。

【ステップ3】価値提供する相手を変えて構成要素価値を提供する

美容室が提供する価値は、顧客個人だけに留まりません。

フランチャイズ展開や店舗展開を行うことで、他の美容室経営者や投資家にも価値を提供します。

これにより、美容室は単なるサービス提供者から、ビジネスモデルの構築者へと進化します。価値提供の対象を広げることで、美容室はさらなる成長と発展を遂げることができます。

【ステップ4】投資価値を提供する

最終的に、美容室は顧客や他のビジネスパートナーに対して、投資価値を提供することができます。店舗の経営権や株式など、価値が上がる可能性のある資産を所有することで、美容室は持続可能なビジネスとしての地位を確立します。

これは、美容室が提供するサービスだけでなく、ビジネスそのものに価値を見出すことを意味します。

このように、美容室はステップごとに価値提供を進化させることで、顧客にとっても、ビジネスパートナーにとっても、魅力的な存在となります。美容室がこれらのステップを踏むことで、業界全体のイノベーションに貢献し、新たな価値を創造していくことができるのです。

子育てのコンサルティングサービスの価値提供ステップ

次に、子育てのコンサルティングサービスにおける価値提供のステップアップについて、より詳細な解説を行います。

事例2:子育てのコンサルティングサービス

ステップ1:ニーズを満たす価値から始める

子育てにおける初期段階では、ママたちが直面する緊急の悩みに対処することが重要です。

これらは、睡眠不足、授乳の問題、子どもの健康に関する不安など、日常生活における具体的な課題です。

コンサルティングサービスは、これらの「ニーズを満たす価値」を提供することで、信頼性の高い支援を実現します。専門家による個別のアドバイスや、実践的な解決策を提供することで、ママたちの即時の問題を解決に導きます。

ステップ2:ウォンツを満たす価値を提供する

ニーズが満たされた後、次はママたちの「ウォンツ(欲求)」に焦点を当てます。

これは、子どもの教育、心身の発達、そしてより良い未来への願望など、長期的な目標に関連します

コンサルティングサービスは、教育プログラムの提案、成長に合わせた活動の推奨、または将来の計画に関するガイダンスを通じて、これらの欲求を叶える価値を提供します。

ステップ3:構成要素価値を提供する

子育ての経験を通じて培われたスキルや知識は、個人だけでなく、より大きなコミュニティにも価値をもたらします。

自治体や企業とのコラボレーションを通じて、「構成要素価値」を提供することで、子育て支援の枠を超えた社会貢献を目指します

例えば、公共の育児施設の改善、企業の育児支援プログラムの開発など、子育てに関する専門知識を活かしたプロジェクトを展開します。

ステップ4:投資価値を提供する

最終的には、コンサルティングサービスが提供する価値を持続可能なものにするために、「投資価値」の提供が重要です。これは、ノウハウを体系化し、コンテンツ化することで、知識や経験を形にし、それを所有する権利を意味します

これにより、サービスは時間とともに進化し、新たなママたちにも恩恵をもたらすことができます。また、このプロセスは、サービスの品質向上や、新しいサービスの開発にも寄与します。

以上のステップを踏むことで、子育てのコンサルティングサービスは、ママたちにとって実質的な価値を提供し続けることができます

それぞれのステップは、ママたちの現在と未来の両方に対する深い理解と、それを支える専門的なサービスに基づいています。このような価値提供のプロセスは、子育てを取り巻く環境を改善し、より充実した育児生活を実現するための鍵となります。

まとめ

本記事は、ビジネスで提供する価値が、顧客のニーズやウォンツを満たすだけでなく、構成要素価値や投資価値まで広がっていることを解説しています

価値提供のステップアップは、ビジネスが成長し、継続的に価値を提供し続けるための重要なプロセスであり、具体的には美容室や子育てコンサルティングサービスの事例を通じて説明されています。

美容室は基本的なニーズから始め、個々のウォンツ、さらにはビジネスパートナーや投資家に対する構成要素価値や投資価値を提供することで、ビジネスの成長と発展を遂げます。

一方、子育てコンサルティングサービスは、子育ての現場で直面する具体的な問題から始め、長期的な育児の目標、さらには社会全体の子育て環境改善に貢献し、最終的には知識や経験を形にすることで、持続可能な価値を提供します。

これらのステップを踏むことで、ビジネスは継続的に価値を提供し、社会に貢献することができるのです