高額商品を市場に投入する際、その成功は多くの要因に依存しますが、最も重要なのは「コストとリターン」のバランスをいかに消費者に理解してもらうかです。
ここでは、高額商品が売れる理由と、売れにくい状況を避けるための思考回路と作り方の手順を初心者にもわかりやすく解説します。
「コストとリターン」のバランスと売れにくい状況
消費者が感じる価値と支払う価格のバランスを見極めることが重要です。
市場において商品が売れるかどうかは、消費者が感じる価値と支払う価格のバランスに大きく左右されます。
高額商品を作る際、このバランスを見極めることは、商品開発の初期段階から最終的な価格設定に至るまで、常に意識すべき点です。
「1万円あげるから1000円ください」は絶対に売れる
例えば、「1万円あげるから1000円ください」というオファーは、一見するとリターンがコストを大きく上回るように見えます。
このため、多くの人々がこのオファーに引き寄せられるのは自然なことでしょう。これはリターンがコストを上回るという直感的な理解からくるものです。
この原則は、価格が高い商品に対しても同様に適用されることがあります。消費者が商品の価値が自分が支払う金額以上であると感じた場合、その商品に対する購入意欲は自然と高まっていきます。
商品が提供する価値が価格を上回ると感じれば感じるほど、消費者の購入欲求は強まるのです。
「コストとリターン」がイメージしにくいと売れにくい
逆に、「コストとリターン」のバランスが明確でない場合、消費者は購入の決断を下すことに躊躇します。特に高額商品の場合、消費者はより慎重な行動を取ります。消費者は、自分が投資する商品がどれだけの価値を提供するのかを十分に理解したいと考えます。したがって、商品の価値を明確にし、消費者が直感的に「得をする」と感じられるような情報提供が不可欠となります。
- 直接比較:
コストとリターンが直接的に比較できる状況を指します。
例えば、副業や投資系の商品・サービスでは、「いくら支払うといくらリターンがあるのか?」という情報が明確に伝わり、実感しやすいため、高額なコスト(支払い)であっても、それ以上のリターンの期待値が高い場合、消費者は購入に結びつきやすいと言えます。 - 間接比較:
この種の比較では、直接的な金額の比較はできませんが、ある程度の距離を置くことで金額の比較が可能になります。
たとえば、資格取得の商品を販売する際、「この資格を取得すると平均年収が+○○万円になる」という未来の状態を提示することで、コストとリターンの比較をしやすくすることができます。これにより、消費者は商品の価値をより具体的に理解し、購入の決定をより容易にします。
代替品として商品を設計する
お客さんが日常生活ですでに支払っているものと比較することができる商品は、その価値を明確に理解しやすく、したがって購入に結びつきやすいといえます。
例えば、節水のできるシャワーヘッドなどの環境に優しい商品は、一見すると日用品とは異なるかもしれませんが、購入することで「節水効果で○○円お得」といった具体的な節約効果を打ち出すことが可能です。これにより、それらの商品は単なる日用品ではなく、長期的なコストカットを実現する投資商品としての価値を持つことになります。
それに対して、どんなに少額でも今まで支払っていなかったものに対して追加予算として余計な費用を支払わせるような商品設計は、消費者にとっては新たな負担となります。そのため、そのような商品は購入に結びつきにくいと考えられます。
知っておくべき商品種類の3つのパターン(DIY・DWY・DFY)
商品種類の3つのパターン(DIY・DWY・DFY)を解説します。
DIY(Do It Yourself):
DIY商品とは、「自分でやる」または「自分で作る」というコンセプトに基づく商品群のことを指します。これらの商品は、顧客が自ら主体となって、提供された情報やツールを用いて、自分だけのオリジナル商品やサービスを作り出すことを目指しています。
このDIYというビジネスモデルの最大の利点は、その複製性です。つまり、一度作成したコンテンツは、そのままコピーして再利用することが可能であり、その結果、一度に多くの人々に同じ商品を供給することができます。これにより、大量生産と同じような規模の経済を実現することが可能となります。
しかしながら、このDIYモデルにはいくつかの欠点も存在します。ひとつは、商品の価格帯が比較的安くなりがちであることです。これは、顧客が自ら製品を作成するため、その労力を考慮すると、結果的に価格が低いものになることが多いからです。また、もうひとつの欠点は、商品のカスタマイズ性が低いことです。DIY商品は、あらかじめ設定されたパターンや手順に沿って作成することが多いため、完成品のバリエーションが少なくなりがちです。
次に、DIY商品の具体的な特徴と事例について見ていきましょう。
- テキストコンテンツ:これには、電子書籍やオンラインの教育コースなどが含まれます。これらの商品は、顧客が自分のペースで学ぶことができ、また、自分の興味やニーズに合わせて選択することができます。
- 動画コンテンツ:これには、YouTubeのチュートリアルビデオやウェビナーなどが含まれます。これらの商品は、視覚的な情報が豊富であるため、手順を視覚的に確認しながら進めることができ、理解しやすいという特徴があります。
DWY(Do With Yourself):
DWY(Do With You)という商品のコンセプトは、「一緒にやる」という考え方に基づいています。このコンセプトでは、顧客は単に情報を提供するだけでなく、専門家のサポートや指導を受けながら自分自身で商品やサービスを作り上げることができます。
このようなアプローチは、一般的にはDIY(Do It Yourself)よりも高価格帯に設定することが可能であり、よりパーソナライズされたサポートを提供できるため、顧客満足度を大幅に向上させることができます。
以下に、DWYの主な特徴とその具体的な事例について説明します:
- コーチング:この種のサービスでは、ビジネスコーチやライフコーチが顧客の目標達成をサポートします。顧客は、コーチの指導を受けながら自分で目標に向かって努力を続けることができます。
- コンサルティング:このサービスでは、専門家が顧客の問題解決をサポートします。専門家は、顧客が抱える問題を理解し、それに対する最適な解決策を提案します。そして、その解決策を実現するために、顧客と一緒に作業を進めることができます。
DFY(Done For You):
DFY商品、つまり「代わりにやる」商品とはその名の通り、顧客が自ら手を動かすことなく、プロフェッショナルに全てを任せるというコンセプトの商品やサービスを指します。
このビジネスモデルは、顧客の具体的なニーズに合わせて提供するサービスをカスタマイズすることが可能で、その結果として価格設定も高額になりがちです。
また、顧客の要望に応じたサービスを提供するためには、専門的なスキルや知識を持つ人材が必要となり、その人材を確保するためにはコストがかかるため、サービスの供給量を増やすためには人的リソースが欠かせません。
以下に、DFYの特徴と具体的な事例を挙げてみましょう:
- 代行業:これには、ウェブサイトの制作やマーケティングキャンペーンの運営など、特定の専門知識や技術を要するサービスが含まれます。顧客は自分でこれらのタスクを行うのではなく、プロフェッショナルに任せることで、自分の時間とエネルギーを他の重要な活動に集中することができます。
- 施術系サービス:美容室やエステティックサロンなどで提供されるサービスは、顧客が自身で行うことは難しいか、あるいは不可能で、そのためにプロフェッショナルに依頼することとなります。これらのサービスは、顧客が自分自身を労わるため、あるいは自分自身を改善するためのものであり、その結果として高額な価格が設定されることが多いです。
高額商品の作り方の手順
高額商品を作るための具体的な手順を詳しく解説します。
高額商品を作るとき、私たちはただ単に価値あるものを作るだけではありません。
私たちは顧客の心を掴み、彼らの期待を超える何かを提供する必要があります。ここでは、初心者でも理解できるように、高額商品を作るための具体的な手順を詳しく解説します。
手順1.商品・サービスの価格を決める
価格設定は商品開発の初期段階で行われる重要なプロセスです。これは、商品の全体的な構造と戦略を形成する基本的な要素となります。
ここで重要なのは、一般的な発想を逆転させ、商品の内容から価格を導き出すのではなく、価格から商品の内容を設計するという考え方です。これは、商品価格設定の新しいパラダイムを提供し、市場における競争力を強化します。
市場調査を通じて、顧客がどの程度の価格を支払う意志があるかを詳しく把握します。この情報は、商品の価格設定に不可欠な要素であり、商品が市場で成功するかどうかを大いに左右します。
そして、その価格に見合う価値を持つ商品を設計します。これには、製品の特性、機能、利便性、品質など、価格に見合った価値を提供するための要素が含まれます。
手順2.どんな成果があれば確実に購入するか書き出す
顧客がどのような成果を求めているのかを明確に把握することは、高額商品を市場で成功に導く上で重要な鍵となります。
まず、顧客が何に悩んでいるのか、その深度はどの程度なのかを深く理解することから始めます。さらに、彼らがどのような解決策を求めているのか、そのニーズは何かを詳細に把握します。これらの情報を基に、顧客の期待を満たす、または超える商品を開発するための計画を立てます。
しかし、それだけでは十分ではありません。時には、従来の常識や枠組みから離れ、新しい視点や発想で商品開発に取り組むことが求められます。これにより、革新的なアイデアが生まれ、市場に新たな価値を提供する商品が誕生することでしょう。
手順3.必要なサービスを書き出して経費を見積もる
商品を提供するためには、どのようなサービスが必要であるか、それにかかる経費はいくらになるかを見積もることが必要です。これは、具体的なビジネスプランを策定する上での重要なステップです。
ここで大切なのは、現実的な経費計算を行い、より確実に成果を出すための要素を見極めることです。これは、事業の成功に直結するため、慎重に行うべきです。自分にできるかどうかを心配するのは後回しにし、まずは理想のサービスを描き出しましょう。これにより、具体的な目標が明確になり、それに向かって進むための道筋が立てやすくなります。
手順4.再現性・保証には何が必要か書き出す
高額商品を購入を検討する顧客は、その商品に投資する価値とその成果が再現可能であることに対する保証を求めます。
彼らは自分たちの困難に対する解決策を見つけるために、大きな額を投資する準備がありますが、それはその商品が提供する価値を確認できる場合に限ります。そのため、商品がどのようにしてその成果を再現可能なのか、どのような保証があるのかを明確に示す必要があります。このプロセスは、信頼できるデータや証明が不可欠です。
この情報が欠けていると、顧客は商品に対する信頼を失い、購入意欲を失う可能性があります。ですから、商品の価値と再現性を証明するためには、具体的なデータや実績、そしてその他の信頼できる証明が必要です。高額商品を購入する顧客は、その価値と再現性に対する強固な保証を求めます。彼らは自身の投資が確実な成果をもたらし、その価値が再現可能であるという確信を持つことが重要です。
そのため、ビジネスとしては、商品がその価値をどのように保証し、その成果をどのように繰り返し提供できるのかを明確に示すことが求められます。これには、信頼できるデータや検証済みの証明が必要となります。それらを適切に提示することで、顧客の信頼を勝ち取り、長期的な関係を構築することが可能になります。
手順5.現状足りない要素を補う計画とできる範囲ですぐに商品をつくる
次に、現在の商品で改善が必要な部分を見つけます。これは商品の使いやすさ、便利さ、質、または顧客サポートなどに関連しているかもしれません。これらの改善点を見つけたら、それらを解決するための具体的な計画を立てます。
改善するべき点が大きすぎる場合は、小さなステップを定めて少しずつ改善していくことが大切です。大きな問題を一度に解決しようとすると、その解決策が難しくて実行できなくなる可能性があります。また、大きな変更は顧客を混乱させる可能性もあります。したがって、少しずつ改善を進めることが、顧客を混乱させないためにも効果的です。
それから、現在可能な範囲で商品の作成を始めます。これは、商品の初期段階で市場の反応を見るためのもので、一部の機能だけを持った試作品を作り、限られた顧客に提供します。これにより、商品のアイデアが実際に顧客の要望を満たすかどうかを確認し、顧客の反応を直接見ることができます。
市場からのフィードバックを元に商品を改善し、さらに価値を提供できるようにします。これは、商品の質を改善し、顧客の満足度を上げるための大切なプロセスです。顧客からのフィードバックは、商品の良い点と悪い点を明らかにし、改善のためのヒントを提供します。これらのフィードバックを上手く活用することで、商品の価値を最大限に引き出し、市場での競争力をあげることができます。
まとめ
本記事では、高額商品の作り方とその成功要因について掘り下げました。高額商品の成功は、消費者が感じる「コストとリターン」のバランスを理解してもらうことが最も重要です。直感的な価値の理解や、代替品としての位置づけが商品の魅力を高め、消費者の購入意欲を喚起します。
また、商品の種類にはDIY(Do It Yourself)、DWY(Do With Yourself)、DFY(Done For You)の3つのパターンがあり、それぞれが異なる市場ニーズに対応します。
高額商品を作る際の具体的手順としては、まず価格設定から始め、それに見合う価値を持つ商品を設計します。次に、顧客がどのような成果を求めているかを明確に把握し、それを満たす商品を開発します。その上で、必要なサービスとその経費を見積もり、商品の再現性と保証に必要な要素を確認します。最後に、足りない要素を補いながら、できる範囲で商品を作り始めます。
これらの手順を踏むことで、消費者にとって真の価値を提供する高額商品を作り出すことが可能になります。